「第9回 京都ヒストリカ国際映画祭」の中で行われた「第9回 京都映画企画市」。
プレゼン大会の前日10月28日(土)に映画祭のレセプションパーティが行われ、企画市プレゼンターたちも檀上でご紹介いただきました。

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パーティは和やかに進行し、会話が弾み緊張もほぐれ、プレゼンターは翌日のプレゼンテーションに向けての鋭気を養ったことと思います!

翌日の本番当日10月29日(日)は台風が接近し、朝から大荒れのお天気でした。
それにも拘わらず、会場へ観覧にお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました!

企画プレゼンに先立ち、昨年の優秀賞作品企画「黒の牛」パイロット版の上映を行い、蔦哲一朗監督と審査員・掛尾良夫氏によるトークをいたしました。
蔦監督から、松竹撮影所による全面的バックアップのもと、撮影が無事完了したことについて報告と感謝が述べられたほか、「黒の牛」が「釜山国際映画祭併催企画マーケット」にて選出・出品されたこと、日本だけでなくフランスやインドなど海外からも制作オファーをいただいたことをご報告いただきました。
「黒の牛」が今後どのような形で本編化されるのか、とても楽しみです。

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続きまして、いよいよプレゼン大会がはじまりました。

image3 ●金井純一(「ちょき」「ゆるせない、逢いたい」監督)
プレゼン企画『剣より拳-捨て身の猿虎-』

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江戸時代後期。黒船の来航により、日本にスパラ(ボクシング)が伝えられ、人並み外れた拳を持つ二人の日本人が現れた。
その名は、猿蔵と虎之助。二人は刀を持たず、己の拳だけで悪党を退治し、江戸を守り続けた。
剣と拳の戦い。拳一つで運命を切り開いた、二人の男の物語。

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日本初のボクシング、スパラをテーマにしたアイディアが斬新と好評でした。

image5 ●柴田啓佑(「ゆえにひと」「ひとまずすすめ」監督)
プレゼン企画『アホンダラ行進曲』

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江戸末期、阿保陀羅経の坊主に育てられた佐吉。夢は貧困な身分から脱却し、武士と成ること。寺で流行っていた「ラップバトル」に参加し、天覧試合で夢を叶えようとするが、うまくいかない。怒涛の修羅場をくぐり抜け、それでも挑戦することを諦めない日々。最後に一発逆転のバトルに挑むのだが…。
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ラップの実演があり、エンターテイメント性のあるプレゼンとなりました。

image7 ●谷本佳織 (「花は咲くか」監督「あかり」脚本・監督)
プレゼン企画『冬牡丹と人魚』

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両肩にコブのある弥助が恋したのは、見世物小屋で人魚として働く脚の不自由なお小夜だった――
「人魚姫」の物語が時代劇として復活。しかし、主人公は人魚ではなく人魚に恋する男。現代にも海外にも通じる普遍的な恋と葛藤が、江戸時代の見世物小屋という妖しく謎めいた世界で繰り広げられます。
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しっとりした語り口でストーリーを説明することで、物語の世界感が伝わりました。構成力の高さが好評でした。

image9 ●安田淳一(「ごはん」「拳銃と目玉焼」監督)
プレゼン企画『侍タイムスリッパー』

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幕末の京都。長州藩士暗殺の密命を帯びた会津藩士新左衛門。いざ成敗と斬り結ぶ刹那、雷に打たれてしまう。目を覚ますと見しらぬ江戸の町。やくざ者に絡まれた町娘を助けると「カーット!」。怒鳴りながら詰め寄る異国風体の男。「何事⁈」訝しむ新左衛門。彼は現代の時代劇撮影所にタイムスリップしていた…。
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過去監督作品の紹介を交え、温かみのあるプレゼンをしていただきました。

image11 ●和田泰宏(「ボキャブライダー」ディレクター UVERworld「SHOUT LOVE」監督)
プレゼン企画『変り兜承り候』

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戦国美意識の極み「変り兜」を作る甲冑師、岩井由岐家。関ヶ原以降開店休業中。新規顧客開拓と、京で幅を利かす「傾奇者」達に近づくも企みがバレて猛省。やがて大坂の陣の噂が流れ事態は好転、腐れ縁の傾奇者浪人から「敵を笑わせ殺す」変り兜の依頼が。試行錯誤した大作と浪人の晴れ舞台や如何に!
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奇想天外なポップなデザインの兜というアイディアが好評でした。

各プレゼンとも個性的でそれぞれに映像化の可能性があり、審査の議論は白熱いたしました。

【審査発表】

審査員
掛尾 良夫氏(城西国際大学メディア学部招聘教授・副学部長)
熊切 和嘉氏(映画監督)
吉川 邦夫氏(㈱NHKエンタープライズ 制作本部 エグゼクティブ・ディレクター)
審査員を代表して掛尾良夫氏より審査結果の発表をいただきました。

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優秀作品企画「冬牡丹と人魚」
監督:谷本佳織(たにもとかおり) 脚本:小松恵子(こまつめぐみこ)

企画構成力が突出して高いプレゼンだったこと、新たなダークファンタジーとして映像化が期待されることや、また商業化の可能性の高さなどが受賞の理由となりました。
監督の谷本さんと脚本の小松さんには350万円相当のパイロット制作権が授与されました。
完成したパイロット作品は来年の「京都映画企画市」にて上映予定です。どうぞお楽しみに!

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最後に、今回応募してくださいました皆様、本当にありがとうございました。
どの作品も発想が素晴らしく、時代劇制作への熱意がこもった力作でした。
また年々本コンテストのレベルが上がっていることを感じます。
来年も皆様の渾身の一作をお待ちしております!