平成27年7月24日(金)にIMAGICA東京映像センターにて「平成26年度 京都映画企画市/京都映画若手才能育成ラボ 撮影報告会」が開催されました。

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本報告会は、京都・太秦の撮影所で若手映像クリエーターが取り組んだ時代劇制作の成果を発表することで、首都圏で活動される映像事業者、クリエーターの方々に京都での映画制作に関心を持っていただくことを目的に昨年度より開始されました。
今回は、昨年度企画市に来場された審査員やオブザーバー、関係者の皆様に加え、新たに映画制作会社や配給会社など今回初めて事業を知っていただけた方も多数いらっしゃり、昨年度より多くの方々にご来場いただきました。

前半は、京都文化博物館主任学芸員の森脇清隆さんより京都映画若手才能育成ラボ(略称「育成ラボ」)についての報告がありました。昨年度で第7回目の実施となった育成ラボですが、過去7回分の開催を合計すると参加者37カ国139名、応募いただいた方は81ヶ国615名までにのぼります。育成ラボは、東映・松竹の2チームに分かれ撮影所で短編時代劇の制作に取り組んでもらいます。参加するクリエーターたちは全員が同じ宿に泊まり、ひとつ屋根の下で寝食をともにしながら映画制作を行う合宿形式のワークショップです。毎晩制作する時代劇作品について議論を重ねる様子や、撮影所での和やかなオフショットなどが写真、映像を交えながら紹介されました。

「今回松竹チームでカメラマンを担当されたシャイ(レンドラ)さんは、5年前に参加した別の方から育成ラボを紹介され参加されています。広報面では過去の参加者や関係者の方からの反響が徐々に口コミとして広がっているのを実感しています。」と森脇さん。決して毎年大勢の方がワークショップへ参加できるわけではありませんが、開催を重ねることで着実に「KyotoFilmmakersLab」の存在が世界中に認知され始めています。

「京都映画若手才能育成ラボ」事業報告をする京都文化博物館主任学芸員の森脇清隆さん

「京都映画若手才能育成ラボ」事業報告をする京都文化博物館主任学芸員の森脇清隆さん


続いて「京都映画企画市」の事業報告です。昨年度、応募された多くの作品企画の中から見事優秀賞に選出されたのは、東映京都撮影所で助監督をされている小川岳志さん(41)。
時代劇という設定の中に大胆に「ゆるキャラ」のテイストを取り入れた、これまでのパイロット版映像には見られない企画内容が評価者からの期待を集め、受賞に至りました。
受賞後は、獲得された350万円相当のパイロット版映像制作権利を活用し、発表された作品企画を実際に映像化され、今回そのパイロット版映像『一匹の親分-マタタビ地獄篇-』が初めてお披露目されました。上映後には、昨年度評価者を務められた城西国際大学教授・キネマ旬報社顧問の掛尾良夫さんと小川監督によるトークセッションが開催されました。

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作品の雰囲気が感じられる風流な着物姿で舞台に登場された小川監督。
「衣裳部と小道具の方から折角の晴れの舞台だからだと急遽今日のためにわざわざ用意していただきました。」と少し照れながら感謝の気持ちを伝えられ、小川監督が撮影チームの全員から信頼され支えられている様子がわかる一場面もありました。

平成26年度京都映画企画市受賞者の小川岳志監督

平成26年度京都映画企画市受賞者の小川岳志監督


掛尾さんからは「今まで“時代劇”というと、制作する上で色々と制約が発生してしまい、今まで(の企画市でのパイロット版)もどちらかと言えばアクションなどハードな方に向かう作品が多かったなかで、小川さんの企画は非常にユニークだった。」と語ります。
「応募の準備段階でなかなか企画がまとまらず迷っていたときに、時代劇という舞台の中で、めちゃくちゃ強い“ゆるキャラ”が暴れて活躍するのはどうかという話になって、周りも非常に反応がよかったので、そこから着想を広げ今回の企画が出来上がりました。」と小川監督。このパイロット版映像がどう受けとめられるのか気になるが、まず企画が面白いと思われること、そして何より楽しんで観てもらえることが大事だと、企画のコンセプトについて説明されました。

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掛尾さんより「ただ実際に企画を面白くしていくのと、映像として具象化させて面白くさせていくのは異なるものだとは思います。特に今回肝となる猫親分の造形は制作時に困ったりしなかったですか?」と、プレゼンテーションの段階からこの企画を知っている方はだれもが映像化において気になっていた点を小川監督に尋ねます。
「キャラクター造形の質を高めていくにはどうしても予算がかかってしまいますが、今回はとにかく主人公の猫親分を“ユルく”させることに注力しました。限られた予算では思い描く理想をすべて実現させるのはやはり難しい。ただ今回は、その“未完成な”感じが逆に求めていたユルさに繋がり自分では満足しています。」と小川監督。

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また、「パイロット版という位置づけをどうするのかも今一度考えて、本編のダイジェスト版としてのパイロット映像の見せ方ではなく、ひとつの完結した世界観でストーリーを提示したほうが、この作品は今後期待を持ってもらえるのではないかと思い、短編の物語としても成立させるつもりで仕上げました。」とも小川監督。

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また監督は事前にキャラクターの権利についても専門家に相談を持ちかけており、もし今後作中のキャラクターが注目を集めて何か次の展開が見えてきた場合でも、トラブルなくスムーズに進めていけるよう配慮しているとのことです。

今後、「一匹の親分-マタタビ地獄篇-」は本編、長編化を目指し、国内、海外への映画祭へ出品していかれる予定です。小川監督が「従来的な意味での時代劇とは違ったものではあるがこのパイロット版を通じて時代劇に関心を持ってもらえることにも期待したいです。」と語られるように、運営事務局もパイロット版を通じてぜひ時代劇に挑戦してみようと思っていただける方が増えることを願っています。