平成26年8月29日、31日にIMAGICA東京映像センター・京都文化博物館にて「平成25年度 京都映画企画市/京都映画若手才能育成ラボ 撮影報告会」が開催されました。
今回のレポートでは、企画市として初めて開催された東京会場での様子をお送りしたいと思います。会場はIMAGICA東京映像センター(五反田)。当日は初めての開催にも関わらず、映画制作会社や制作者など多方面の皆さまにご参加いただきました。

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報告会のはじめに、京都文化博物館主任学芸員の森脇清隆さんより昨年度実施された京都映画若手才能育成ラボ(略称「育成ラボ」 http://kyotofilmmakerslab.com/ )について報告がありました。育成ラボは企画市と同時期に開催されており、国内で唯一の英語で行われる時代劇制作ワークショップです。今年で7回目の開催を迎え、これまで75ヶ国469名の方より応募がありました。

「日本のテレビ、映画、アニメを観て育った世界中の子供達が、現在映画制作に携わったり、日本の映像文化を研究対象にしていたりしていて、日本の時代劇が世界の若手の方から関心を持たれている。」と森脇さん。日本の時代劇が国内のみならず海外でも受け入れられていると改めてお話しいただきました。

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続いて報告会の後半には、本報告会のメインとなる「京都映画企画市」の報告が行われました。舞台挨拶と上映の後には、城西国際大学教授・キネマ旬報社顧問の掛尾良夫さんと昨年度優秀賞を受賞された西片友樹監督によるトークセッションが開催されました。

「いわゆる“時代劇”とは違うアプローチで、若手の自分だからこそ描けるもので、実験的に時代劇の幅を広げたかった」と西片監督。
「トレーラーにとどまらず、監督の名刺代わりになるような、ひとつの映像作品としても成立させたいと思ってサポートしました。」と安達プロデューサー。

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幕末から明治にかけて実際に作られていた「生人形」(いきにんぎょう)から着想を得て始まった作品企画『Ghost Dolls』。
選考段階の企画書では、3つの生人形と主人公の出会いが描かれていましたが、今回のパイロット版では、「長編化にあたってプロデューサーや出資者の方が真っ先に気にするであろう、映像に映り込む“生人形”の雰囲気を伝えること」を優先し、1体の生き人形に絞った物語を挑戦的に描かれました。

また、“見世物小屋の生人形”という誰も見たことのない設定には、前々回の企画市で優秀賞を獲られた辻本貴則監督によるSFアクション時代劇『Battle of Kyoto ~未来特区ネオウズマサ~』(http://kyotofilmpitching.jp/archive/h24/)に登場する「かまいたち」という目に見えない武器に「映像で観たい」という審査員の期待が集まったことも思い出されます。

トークセッションでの「この映像をもって実際の製作資金を集めるためにどう動いていくのか?」という掛尾さんの問いに、「自分にはこれまで実績という実績がないので、この短編映像自体を海外の映画祭に出品して評価を得たいと思います。自分に対する期待や評価としてあてられる製作予算を、ゼロから増やして3千万、次に6千万、1億というふうに拡大していきたいです。そのひとつひとつのハードルを越えていくことしかないと思ってます。」と西片監督は答えました。

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続けて「時代劇という条件でチャレンジすることや普段撮影所に所属しているということで、インディーズで活動する同世代の人たちよりも“自分の作品”は作りづらいのでは?」との掛尾さんの質問には、「意外かもしれないですが、撮影所の人たち、特にベテランの方には新しいモノをまず肯定してやってみるという意欲的な方が多いです。それに、今年からは東映の撮影所メンバーと一緒にチームで自主映画を始めたりしていて、撮影所の技術とメンバーがあるからこその強みを活かしたことができないかと考えています。」と返し、組織の中にいながらも個人の活動も広げていく意気込みを伺うことができました。

現在西片監督は『Ghost Dolls』の長編化に向け、企画市に参加されたオブザーバ−(審査員以外に企画発表に意見をする役)の方と意見交換をされたり、映画祭出品の準備を進められています。

運営事務局としても今後も引き続き支援していきたいと思います。
会場にご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
西片監督の今後の活躍にどうぞご期待ください。

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※同様の報告会を京都でも後日開催いたしました。